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自分に影響を与えた作品

好きな「作品」は数あれど

 

「今の自分に影響を与えた作品は?」

 

と問われれば、実はそんなにない。

 

そんな中で、ヨガというか哲学というか仏教というか、人の「心」に興味を持つキッカケとなったのは、士郎正宗の『アップルシード』だったように記憶しています。

 

1985年に発表された近未来SFポリスアクションコミック。

 

第5次世界大戦後の未来都市で、テロリストと戦う特殊警察のデュナン・ナッツと恋人のブリアレオスの活躍を描いた作品ですが、ストーリーはかな〜り複雑。

 

SFなので科学的な描写に加え、民主主義・社会主義などのイデオロギー、三権分立や各行政機関の役割や立場、哲学的思想的な知識がないと、登場人物のセリフやストーリー、なぜ?誰と戦ってんのかサッパリわからん

 

ということになります

 

初めて読んだのは高一の頃、兄の本棚にあったのをわけもわからず読んでいました。

 

社会人になって、この漫画の解説本があるのを知り、それを買ってやっとある程度理解した感じ。

 

このような複雑なストーリーは、読者だけでなく主人公のデュナンも混乱させます。

警官としてテロリストと戦いながら、

自分のしていることは正しいのか?

権力に利用されてるだけなんじゃないのか?

誰が敵で、誰が味方なのか?

何が善で、何が悪なのか?

 

そんなデュナンにブリアレオスが言います。

 

自分達の敵はテロリストそのものではなく、彼らをそうさせるその「心」なんだ、と

社会のシステムやイデオロギーではなく、それを生み出す心の「ストレス」 だ、と。

 

これを読んだときに、目の前がパッと開けたというか、物事を見るヒントを得たような気がしました。

 

私達は政治・文化・思想などに囲まれ、依存して生活しています。

これらは人間の心が生み出したものです。

 

そして日々のストレスもこれらのものから受けています。

対人関係のちょっとしたすれ違いや犯罪のような大きなことまで。

 

それは、犯罪を犯したその人が原因と考えるのではなく、その人にそのような言動や犯罪を起こさせるエネルギーを作り出す「心の構造」が原因で、真の敵(ターゲット)は、その「心の構造」であり、それを作り出すものなのだ、と。

 

ヨガでは、現在の自分の行動に影響を与える記憶(過去の出来事)をサンスカーラ、サンスカーラを思い出したときに付いてくる怒りなどの感情をヴァーサナーといいます。

 

ヨガを学んだ後、改めてブリアレオスの台詞を読むと、人々の心に負のヴァーサナーを発生させるサンスカーラを作り出す社会の構造が問題なんだよ、警官として対応すべきは、結果としてのヴァーサナーではなく、原因としてのサンスカーラだよ、と言っているのかな、と思います。

 

私達の社会的な活動は、すべて自分の中にいつの間にか発生したヴァーサナーをどのように消化するか、ということなんじゃないかと考えるようになりました。

 

そのエネルギー、ヴァーサナーの処理を、趣味やスポーツなどで楽しく出来ることもあるし、負のヴァーサナーであれば苦しみ道を踏み外し、犯罪を犯してしまうこともあるのかなと。

 

美味しものを食べるのも、人とオシャベリするのも、ネットに悪口を書くのも、良い事すのも悪いことするのも、全部ヴァーサナーを消費するため。

 

人と接するとき、その人がなぜそんなことを言うのか?なぜそんなことをするのか?

 

ヨガのインストラクターをはじめて、その人のサンスカーラ・ヴァーサナーを考えるようになりました。

 

自身のサンスカーラ・ヴァーサナーに無自覚だと、それに操られてしまう。

 

そのような心の構造、心のエネルギーが自分の中にあるんだということを知ることで、自分を制御することが出来るようになってくる。

そのことを教えてくれる、その道を示してくれるのが、ヨガの一番の恩恵であると思っています。

 

罪を憎んで人を憎まず、ってことなのかな?

 

『アップルシード』は全4巻。

残念ながら未完ですが、今は電子書籍で気軽に読むことが出来ます。

 

内容は難しいですが、意外とコミカルな感じで読み易いっす。

 

よくわかんないけど、読むと頭が良くなったような気にさせてくれる漫画です。

 

巣ごもりでお時間のある方は是非お読みください。

 

みたいな(=゚ω゚)ノ